SaaS企業の営業組織図——IS/FS/CS/AE/SDR/BDRの役割と年収
SaaS企業の営業組織を構成する6つの職種——IS・FS・CS・AE・SDR・BDR。役割・KPI・年収・キャリアパスを組織図とともに解説。
ハル
俺も、どん底から這い上がった。だから言える。
SaaS企業の営業組織は、従来の営業組織とは構造が違う。初めてSaaS企業に入った人が「SDRって何?」「AEとFSは違うの?」って混乱するのは当然。
俺が営業企画として組織を設計する側にいるからわかるけど、この分業構造を理解してるかどうかで、キャリアの選択精度は大きく変わる。
まず全体像を把握しよう。
SaaS営業組織の全体像——The Modelの構造
SaaS企業の営業組織は、「The Model」と呼ばれる分業型モデルが主流。Salesforceが提唱して、日本ではマルケト(現Adobe)の福田康隆さんが著書で広めた概念だ。
全体のパイプラインは3段階に分かれる。
マーケティング → リード開発(SDR/BDR/IS) → 受注獲得(AE/FS) → 顧客成功(CS)
各段階の間に「引き渡し(ハンドオフ)」が発生して、リードがパイプラインを流れていく。各職種が専門領域に集中することで全体の効率を最大化する、って設計。
6職種の役割とKPI
SDR(Sales Development Representative)
役割: マーケが獲得したインバウンドリードに対応して、商談可能な状態まで育てる。
主な業務: リードへの架電・メール、ニーズの確認、商談のスケジューリング、AE/FSへの引き渡し
KPI: 商談化数、商談化率、レスポンスタイム
年収レンジ: 350〜500万円
BDR(Business Development Representative)
役割: アウトバウンドで新規企業を開拓する。ターゲット企業をリサーチして能動的にアプローチ。
主な業務: ターゲット企業のリサーチ、コールドコール・コールドメール、ABM(アカウントベースドマーケティング)施策の実行
KPI: 新規商談創出数、ターゲットアカウント接触率、パイプライン貢献額
年収レンジ: 350〜550万円(ABM経験者は500〜650万円)
IS(インサイドセールス)
役割: SDR/BDRを包括する概念。企業によってはSDRとBDRを区別せず「IS」として一括で呼ぶことが多い。
日本のSaaS企業では「IS」って呼称が一般的。インバウンド対応とアウトバウンド開拓の両方を担うケースが多い。ISの求人は2022年比で12倍に増加(パーソルキャリア調査)で、市場での需要は拡大中。
年収レンジ: 350〜500万円(リーダー・MGは600〜800万円)
AE(Account Executive)
役割: 商談を推進して受注を獲得する。SaaS営業組織の中核的なクローザーポジション。
主な業務: デモ・プレゼン、提案書作成、価格交渉、契約締結、社内リソースの調整
KPI: 受注額(ARR)、受注件数、受注率、平均契約単価
年収レンジ: 500〜1,200万円(外資系トップパフォーマーは2,000万円以上)
FS(フィールドセールス)
役割: AEとほぼ同義。日本のSaaS企業ではFSの呼称が一般的。コロナ後はWeb商談が主流になって「フィールド」の名前と実態がズレてるケースも。
年収レンジ: 400〜700万円(SaaS上位FSは1,000万円台)
CS(カスタマーサクセス)
役割: 受注後の顧客が成功するよう長期的に支援する。解約防止・利用拡大・アップセルが主な仕事。
主な業務: オンボーディング、ヘルススコア管理、定例MTG、アップセル/クロスセル提案、解約リスク対応
KPI: チャーン率、NRR(Net Revenue Retention)、NPS、アップセル額
年収レンジ: 400〜700万円(ハイタッチCSは600〜900万円、外資系は約1,000万円)
年収比較——一覧表
| 職種 | 年収レンジ(国内SaaS) | 外資系SaaS上限 |
|---|---|---|
| SDR | 350〜500万円 | 600万円程度 |
| BDR | 350〜550万円 | 700万円程度 |
| IS(リーダー含む) | 350〜800万円 | 900万円程度 |
| AE/FS | 400〜1,200万円 | 2,000万円以上 |
| CS | 400〜900万円 | 1,200万円程度 |
| 営業企画/RevOps | 600〜1,000万円 | 1,500万円程度 |
営業職全体の平均年収は456万円(doda 2025年)。SaaS企業の営業職は業界平均を上回る水準にある。
キャリアパスの流れ
SaaS営業組織の中でのキャリアパスは大きく4方向。
方向1: 縦(同職種でマネジメント昇格) SDR→ISリーダー→ISマネージャー / AE→FSマネージャー→VP of Sales
方向2: 横(職種転換) SDR→AE / IS→CS / AE→CSM / CS→営業企画
方向3: 斜め(専門職への進化) IS Ops→RevOps / AE→セールスエンジニア / CS→プロダクトマネージャー
方向4: 外(他業界・他職種への転身) AE→コンサルタント / CS→カスタマーマーケティング / 営業企画→経営企画
どの方向に進むかは、自分のスキルと志向次第。
SaaS以外の企業でも通用するのか
The Modelの分業構造はSaaS発だけど、この考え方は広がりを見せてる。
人材サービス、コンサル、製造業のIT部門など、BtoBビジネスの企業で分業型営業の導入が進んでる。SaaS営業で身につけた「プロセス管理」「KPI設計」「ツール活用」のスキルは、SaaS以外でも十分に通用する。
まとめ——まず全体像を理解する
SaaS営業組織の6職種は、それぞれ違うスキルセット・KPI・年収レンジを持ってる。どれが「一番いい」じゃなくて、自分の強みと志向に合ったポジションを選ぶのが大事。
全体像を理解した上で、自分がどのポジションに向いてるか知りたい人は、ストッパー診断を試してほしい。キャリアの傾向と強みがわかれば、SaaS組織の中で最適なポジションが見えてくる。
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よくある質問
- QSDRとBDRの違いは何ですか?
- SDRはインバウンドリードに対応する役割。BDRはアウトバウンドで新規開拓する役割。SDRは『来たリードを育てる』、BDRは『自分からリードを作る』と理解すればOK。
- QAE(アカウントエグゼクティブ)とFSの違いは?
- 機能はほぼ同じ。外資系は『AE』、日本SaaS企業は『FS』と呼ぶケースが多いです。企業によっては担当領域で使い分けも。
- QSaaS営業で未経験から入りやすいのはどの職種ですか?
- SDR/ISが最も入りやすいです。コミュニケーション力と学習意欲があれば未経験でも採用されやすく、SaaS営業の基本を学べます。
- QSaaS営業組織のないIT企業に転職するとき、この知識は活かせますか?
- 活かせます。分業型モデルの考え方は人材・コンサル・製造業ITなどでも採用が広がっていて、業界を問わず通用します。
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ハル
35歳営業企画マネージャー
テレアポ300件/日の時代から、AI活用で月次戦略を回す立場へ。どん底を知っているから、リアルな話しかしない。